Lesson 1
商品の代金を米ドルなどの外国通貨で受け取る場合、受け取る外貨の額が同じでも、円に換算した金額は為替相場によって変わります。このレッスンでは、外貨建売掛金を取引時・決算時・回収時に記録する方法を学びます。
掛けで商品を販売したときは、後日代金を受け取る権利を売掛金として借方に、売上を貸方に記録します。代金を回収したときは、売掛金を貸方に記録して減らします。
外国通貨で金額が決められている取引を、外貨建取引といいます。帳簿では円で金額を記録するため、「外貨の金額 × 1外貨当たりの円相場」で換算します。
例えば、1米ドルが148円なら、2,400米ドルは2,400×148=355,200円です。1米ドルが152円になれば、同じ2,400米ドルでも364,800円になります。
| 確認する時点 | 使う為替相場 | 売掛金について行う処理 |
|---|---|---|
| 取引が発生したとき | 取引時の相場 | 売掛金と売上を円換算して記録 |
| 未回収のまま決算を迎えたとき | 決算時の相場 | 売掛金を換算し直し、差額を為替差損益へ |
| 代金を回収したとき | 回収時の相場 | 円での受取額と売掛金の帳簿価額との差額を為替差損益へ |
為替相場の変動によって生じた利益を為替差益、損失を為替差損といいます。このレッスンでは、どちらも「為替差損益」勘定を用い、利益は貸方、損失は借方に記録します。帳簿価額とは、その時点で帳簿に記録されている金額のことです。商品を販売したときの売上を、後から書き換えるわけではありません。
外貨建売掛金は、決まった外貨額を受け取る権利です。1米ドル当たりの円の金額が大きくなると、受け取れる円換算額も増えるため、為替差益が生じます。反対に、円換算額が減ると為替差損が生じます。
これは売掛金の説明です。支払う義務である外貨建買掛金に、そのまま同じ損益の向きを当てはめないようにしましょう。
当社は当期中に商品2,400米ドルを掛けで販売した。取引時の為替相場は1米ドル=148円であった。決算日には全額が未回収であり、決算時の為替相場は1米ドル=152円であった。
翌期に代金全額を回収し、直ちに円に換えて普通預金へ入金した。回収時の為替相場は1米ドル=149円であった。
取引時、当期決算時および翌期回収時の仕訳を示しなさい。なお、為替予約はなく、期首に再振替仕訳は行わない。消費税、銀行手数料および貸倒引当金は考慮しない。為替相場の変動による差額には「為替差損益」を用いる。
売掛金も売上も、取引時の相場148円で換算します。
2,400米ドル×148円=355,200円
商品代金を受け取る権利が増えるため、「売掛金」は資産の増加として借方に記録します。また、商品を販売しているため、「売上」は収益の発生として貸方に記録します。よって、仕訳は以下のようになります。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
売掛金 | 355,200 | 売上 | 355,200 |
外貨建売掛金は、決算時の相場152円で換算し直します。決算日の円換算額は2,400×152=364,800円です。
帳簿価額355,200円との差額は、364,800−355,200=9,600円です。受け取る権利の円換算額が増えるため、資産の増加として「売掛金」勘定を借方に記録します。また、為替差益が生じるため、「為替差損益」勘定を貸方に記録します。よって、仕訳は以下のようになります。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
売掛金 | 9,600 | 為替差損益 | 9,600 |
当期末の売掛金残高は364,800円となります。売掛金364,800円を追加で計上するのではなく、現在の帳簿価額との差額だけを仕訳します。
回収した2,400米ドルを149円で円に換えるため、普通預金への入金額は357,600円です。
一方、売掛金は前期末の換算後の金額364,800円で残っています。入金による資産の増加として「普通預金」勘定を借方に、代金を受け取る権利がなくなるため「売掛金」勘定を貸方に記録します。入金額が364,800−357,600=7,200円少ないため、この差額は為替差損として「為替差損益」勘定の借方に記録します。よって、仕訳は以下のようになります。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
普通預金 | 357,600 | 売掛金 | 364,800 |
為替差損益 | 7,200 |
借方合計357,600+7,200=364,800円で、貸方合計と一致します。回収時に比較するのは、取引時の355,200円ではなく、直前の帳簿価額364,800円です。
| 時点 | 相場 円/米ドル | 円換算額 円 | その期の為替差損益 |
|---|---|---|---|
| 取引時 | 148 | 355,200 | 発生なし |
| 当期末 | 152 | 364,800 | 差益9,600円 |
| 翌期回収時 | 149 | 357,600 | 差損7,200円 |
2期間を通算すると、9,600−7,200=2,400円の差益です。最終的な入金額357,600円と、取引時の売上355,200円との差額2,400円にも一致します。各期の損益は、当期に9,600円、翌期に△7,200円と分けて認識します。
このレッスンは、2027年3月31日までの試験範囲に対応しています。
このレッスンでは、為替予約のない営業取引の売掛金を扱います。買掛金、外貨預金、前払金・前受金、為替予約の振当処理は扱いません。
外貨建借入金などの財務活動、為替予約の独立処理、荷為替の処理は扱いません。相場はすべて例題用の仮定であり、実際の為替相場を示しません。