日本商工会議所から、簿記検定の出題区分を改定するお知らせが出ました。かんたんにいうと、紙の手形・小切手がなくなることと、新しいリース会計がきっかけです。
この記事では、これから3級を学ぶ人が「いま何をすればいいか」だけを整理します。
2026年度に受ける試験は、これまでどおりです。
新しい出題区分が使われるのは 2027年4月1日以降(統一試験・ネット試験・団体試験とも)です。2026年度は、いまの区分表(2022年度適用)のまま出題されます。
なので、今すぐテキストを捨てたり、手形を全部飛ばしたりする必要はありません。
2つ大きな背景があります。
紙の手形・小切手の廃止
銀行の交換も、2026年度末で紙の手形・小切手をやめる方向です。簿記の授業や試験では、これまで手形・小切手が「よく出る典型取引」だったので、その分、出題の中身を組み替える必要があります。
新しいリース会計基準
2027年4月以降に始まる事業年度から、借りているものでも原則オンバランス(資産・負債に載せる)になるルールが本格適用されます。こちらは主に2級以上の話ですが、3級の家賃・地代の扱いにも説明が付いています(後述)。
紙の手形・小切手まわりは、出題から大きくなくなります。
これまで3級のかなりのボリュームを占めていた部分なので、範囲がすっきりする一方で、穴を埋めるために別の論点が3級に降りてきます。
日商の説明では、手形・小切手が減る代わりに、2級の一部を3級へ移すと書かれています。初学者向けに、特に押さえたいのは次です。
これまで2級寄りだった「販売のつど、売上原価勘定に振り替える方法」が、3級にも入ります。
イメージはこうです。商品を売ったとき、売上だけでなく「その商品の原価」もそのタイミングで仕訳に落とすやり方です。3級でも商品有高帳などで原価を追う学習はすでにあるので、それを総勘定元帳側にもつなげる、という位置づけです。
くわしい仕組みは、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法とは? で整理しています。
使わなくなった備品などを外す・捨てる処理が、3級でも出題対象になります。実務でもよくある取引なので、基礎として降りてきたイメージです。
減価償却の「定率法」も、3級に降りてきます。ただし 基本の仕組み に限ります。法人税法の200%定率に出てくる保証率・改訂償却率といった細かいところは、3級では出さない、と明記されています。
償却率は問題文で示される想定なので、「率を暗記する」より「未償却残高 × 率」の形を理解する、が大事です。
企業でよく使う 普通預金 が、出題区分にきちんと載ります。もともと実務では普通なので、学習のハードルが急に上がる、という話ではありません。
新しいリース会計では、借りているものがオンバランスになる場面が増えます。ただし 3級ではオンバランス処理は求めない、と日商ははっきり書いています。
3級で出てくる店舗の家賃や駐車場の地代は、だいたい短期・少額のイメージで、これまでどおり 支払家賃・支払地代 でよい、という整理です。
(2級以上で賃貸借処理するときは「支払リース料」に寄せる、という注意はありますが、3級の入門段階では家賃・地代のままで大丈夫、と読んでおけば十分です。)
2級から降りる論点はあるものの、3級は入門・基礎の学習者向けなので、出題では十分に留意する、とも書かれています。いきなり難問だらけ、という意味ではありません。
状況別のすすめ方です。
2026年のうちに3級を取りたい
いまのテキスト・問題集のまま進めて大丈夫です。手形・小切手も、現行範囲ならきちんとやりましょう。
2027年4月以降に受験する予定
いま基礎(仕訳・商品・諸経費・決算の流れ)を固めておき、改定後のテキストが出そろってから「降りてくる論点」(販売時の原価振替・除却廃棄・定率法)を足す、が無理のない進め方です。
まだ始めたばかり
改定のニュースで焦らなくて大丈夫です。まずは「借方・貸方」「商品の売買」「現金預金」の感覚をつかむことが先です。手形が減る改定は、むしろあとから学ぶ人には負担が軽くなる面もあります。
出典は、日本商工会議所「紙媒体による手形・小切手の廃止および企業会計基準第34号『リースに関する会計基準』等の適用にともなう商工会議所簿記検定試験出題区分表などの改定について【確定版】」です。細かい科目名や仕訳例は、公式の新しい出題区分表・勘定科目表もあわせて確認してください。