簿記1級・2級・3級の難易度の違い|範囲・時間・合格率を比較

2026/10/6
目次

日商簿記の3級・2級・1級の難易度の違いについて解説します。出題範囲・試験時間・合格の条件は級ごとに違うので、並べて比べると、どの級から受けるかを決めやすくなります。

級ごとの難易度の感じ方や合格率の読み方は、次の記事で解説しています。

範囲の違い

公式のレベル案内は、次のとおりです。

級 公式のレベル(要約) 試験科目
3級 基本的な商業簿記を修得し、小規模企業の経理関連書類を適切に処理できるレベル 商業簿記
2級 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるレベル 商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)
1級 極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算

3級は商業簿記のみ、2級では工業簿記が加わります。1級はさらに会計学が加わり、商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算の2つに分かれて実施されます。

簿記3級・2級・1級の出題範囲が積み上がる階段のイメージ(3級は商業簿記、2級で工業簿記が加わり、1級は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目になる)

出題の細かい区分は、出題区分表で確認できます。3級・2級の出題範囲の見方は、簿記3級の出題範囲と簿記2級の出題範囲でも扱っています。サンプル問題は公式のサンプル問題から入手できます。

2級・3級の本試験問題は公式に公開されていません。1級は試験後に公式サイトで問題が公開されます。

1級が難しく感じられる理由

「簿記1級は難しい」と聞くと、まず合格率の数字を思い浮かべる人が多いと思います。ただ、実際につまずきやすいのは、試験の枠組みそのものが2級・3級と違うことに気づかないまま、同じ感覚で進めてしまうところです。案内を並べて比べると、その差が見えやすくなります。

比べる点 3級・2級 1級
科目 3級は商業簿記のみ。2級は商業簿記・工業簿記 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目
試験時間 3級は60分、2級は90分(1回で完結) 90分+90分(途中休憩あり)。前半のみ・後半のみは受験できない
合格基準 合計70%以上 合計70%以上に加え、1科目ごとにも40%以上
ネット試験 あり(統一試験と同等) なし(ペーパーの統一試験のみ)

たとえば、2級までは商業簿記と工業簿記をひとつの試験時間のなかで解きます。1級は前半(商業簿記・会計学)と後半(工業簿記・原価計算)に分かれ、途中に休憩はありますが、前半だけ・後半だけを受けることはできません。1回の試験で4科目をまとめて受け切る必要がある、というイメージです。

もうひとつ大きいのが、科目ごとの基準です。合計が70%以上でも、どれか1科目が40%を下回ると不合格になります。得意な商業簿記だけで点を稼いで、会計学や原価計算をそのままにする、という進め方は通用しにくくなります。2級・3級にはない下限なので、ここで初めて「科目ごとのバランス」を意識する人も少なくありません。

日程の選びやすさも違います。2級・3級にはネット試験がありますが、1級はペーパーの統一試験だけで、実施は年2回(6月・11月)です。仕事や学校の予定と合わせづらい、と感じる人もいます。

合格率は回によって動き、直近の統一試験ではおおむね10%台から20%台前半です。回ごとの数字は、このあとの「合格率の違い」で紹介しています。

試験時間の違い

級 試験時間 問題数の目安
3級 60分 3題以内
2級 90分 5題以内
1級 90分+90分(途中休憩あり) 前半と後半で科目が分かれる

1級は前半のみ・後半のみの受験はできません。2級・3級は2021年度からこの時間・題数になっています。

合格基準の違い

級 合格基準
3級 70%以上
2級 70%以上
1級 70%以上。ただし1科目ごとにも40%以上

1級だけ、合計だけでなく科目ごとの下限があります。どれか1科目が40%を下回ると、合計が70%以上でも合格になりません。

試験方式の違い

級 統一試験(ペーパー) ネット試験
3級 あり あり
2級 あり あり
1級 あり なし(ペーパーのみ)

2級・3級の統一試験とネット試験は、出題範囲・問題の難易度・合格基準が同じで、同等の資格として扱われます。1級はネット試験の対象外です。

合格率の違い

受験者データの集計単位は、方式で違います。統一試験は回(試験日)ごと、ネット試験は期間ごとです。数字だけで「易しい」「難しい」と決めないようにしてください。

統一試験(直近)

回(試験日) 3級 2級 1級
第173回(2026年6月14日) 33.8%(実受験 14,359名) 15.1%(実受験 4,821名) 21.2%(実受験 9,806名)
第172回(2026年2月22日) 33.6%(実受験 17,140名) 15.1%(実受験 6,038名) —(1級なし)
第171回(2025年11月16日) 34.5%(実受験 16,648名) 23.6%(実受験 6,332名) 15.2%(実受験 10,524名)
第170回(2025年6月8日) 42.4%(実受験 18,935名) 22.2%(実受験 5,383名) 14.0%(実受験 9,610名)

1級の統一試験は年2回(6月・11月)の実施です。2月の回には1級はありません。

その前の1級は、第168回(2024年11月17日)が15.1%、第167回(2024年6月9日)が10.5%で、回によって幅があります。

ネット試験(2級・3級)

期間 3級 2級
2026年4月〜2026年6月 44.5%(受験 64,183名) 31.9%(受験 33,659名)
2025年4月〜2026年3月 40.8%(受験 276,477名) 32.9%(受験 141,072名)
2024年4月〜2025年3月 38.6%(受験 254,433名) 35.7%(受験 124,429名)

1級にネット試験はありません。

同じ方式で比べると、どの期間でも3級の合格率が2級を上回っています。統一試験の直近では、3級がおおむね30%台前半から40%台、2級が15%前後から20%台、1級が10%台から20%台前半で、回によって差があります。

勉強時間の目安

勉強時間の公式な目安はありません。必要な時間は、いまの理解度・使える曜日・教材の進み方で変わります。

デビクレの簿記3級の勉強時間の決め方では、総時間をひとつに決めず、一週間に使える時間を数えてから予定を組む方法を紹介しています。

1級は範囲が広く、合格までにかかる時間の個人差も大きいです。たとえば同じ教材でも、平日に少しずつ進める人と、仕事やアルバイトの合間に週末にまとめて取り組む人とでは、進み方がかなり変わります。1級を目指す場合は、受験年度の出題区分と自分の週ごとのペースから逆算してください。独学で進めるときの考え方は、簿記1級の勉強時間と独学で解説しています。

デビクレでは3級・2級のレッスンを公開しています。2級は2026年度試験向け(2027年3月31日まで)の教材を順次公開していて、今は試験範囲の一部を扱っています。試験範囲全体は網羅していません。1級のレッスンはありません。簿記3級と簿記2級から確認できます。

どの級から受けるかの判断

級の順番に必須の受験資格はありません。3級に合格していなくても2級・1級から受けられます。ただし、上位級の商業簿記は下位級の仕訳や決算の流れを前提に進むことが多いです。たとえば、いきなり上の級のテキストを開いて用語で止まるなら、下の級の範囲に一度戻る、という選び方もあります。

簿記の受験級を選ぶ分岐のイメージ(3級の範囲から進む道、2級から進む道、1級を目指す道)

はじめて簿記に触れる人は、まず3級の範囲(商業簿記の基礎)から進めると、用語と仕訳の土台を作りやすいです。3級の内容に不安が少ない人や、仕事や授業で仕訳に触れている人は、2級から受ける選択もあります。その場合は、工業簿記が加わる点を早めに確認してください。

税理士試験の受験資格など、1級の合格が目的の人は、1級がペーパーの統一試験だけで、科目ごとの40%基準もある点に注意してください。2級までの商業簿記・工業簿記の土台があるかを先に見極めるとよいです。

就職や履歴書での見え方は、簿記の就職・キャリアで解説しています。

まとめ

項目 3級 2級 1級
科目 商業簿記 商業簿記・工業簿記 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算
時間 60分 90分 90分+90分
合格基準 70%以上 70%以上 70%以上かつ各科目40%以上
ネット試験 あり あり なし
本試験問題の公開 公式サイトでは未公開 公式サイトでは未公開 試験後に公式公開

合格率は方式と回・期間で動きます。数字だけを見ず、範囲の広さと試験時間を前提に、自分の週ごとのペースから受験級を選んでください。

参考