日商簿記2級・3級の本試験問題が公開されているか、いつから持ち帰れなくなったか、そして代わりに何で練習するかについて解説します。
「昔の過去問を集めれば十分」と思いがちですが、いまの2級・3級は本試験問題を手元に残せません。公式が用意している練習材料と、出題範囲の全体像から押さえると迷いが減ります。
2級・3級の本試験問題は公開されていない
日本商工会議所の案内では、統一試験でもネット試験でも、2級・3級の試験問題は公開しないとされています。1級だけは、後日、検定ホームページで試験問題が公開されます。
統一試験(ペーパー)では、答案用紙のほか試験問題用紙と計算用紙もすべて回収されます。ネット試験は画面に問題が出るため、持ち帰れる問題用紙はありません。使用した計算用紙(メモ用紙)も回収されます。
統一試験は第158回(2021年6月)から問題用紙を回収
統一試験の2級・3級では、第158回(2021年6月13日)から、問題用紙・答案用紙・計算用紙がすべて回収される運用になりました。会場では、これらが一体となった冊子が配られ、試験終了後にすべて回収されます。
それ以前(第157回・2021年2月まで)は、禁止の重点が答案用紙の持ち出しに置かれており、問題用紙の持ち出しはいまほど厳しく書かれていませんでした。第158回からの変更で、冊子ごと回収する形に揃っています。
2級・3級の「出題の意図・講評」も、第157回までが最後です。第158回以降は、1級の講評だけが掲載されています。
ネット試験は2020年12月の開始時から非公開
ネット試験(CBT)の2級・3級は、2020年12月の開始時から、問題を持ち帰れない運用です。受験者ごとに違う問題が画面に出ます。
メモは会場配布のA4サイズ2枚とボールペンで取れますが、メモ用紙は試験後にすべて回収されます。持ち帰りが分かった場合はその試験は無効とされ、以後の受験を断られることもあります。
ネット試験の画面操作や持ち物の違いは、次の記事で解説しています。
なぜ非公開?公式の説明
公式の説明は、大きく分けて次の二つです。
ひとつは、ネット試験の仕組みそのものです。コロナ禍でも受験機会を増やせる運用では、「問題・解答の非公開が前提」とされています。
もうひとつは、ペーパー側の揃えです。ネット試験では問題を持ち帰れない運用に合わせ、2021年6月の第158回から統一試験でも試験問題を回収している、と説明されています。
あわせて、新しいコンセプトでは「試験対策(例えば、過去問だけに頼った学習など)にとどまらない真の簿記学習を奨励します」とされ、出題範囲から標準的な問題をランダムに出す、とも説明されています。ヤマを張った学習だけでは足りない、という趣旨です。
1級だけは問題が公開されている
1級は扱いが違います。第158回(2021年6月13日)から、1級の試験問題は試験の後日、検定ホームページで公開されています。
持ち帰りについても、第167回(2024年6月9日)以降は、1級の問題用紙・計算用紙の持ち帰りが認められています。2級・3級は、これまでどおり試験後に回収です。
2級・3級を受ける人が1級の公開問題を「そのままの過去問」として使う前提にはしない方がよいです。級も範囲も違います。
公式サイトから案内されている練習材料
2級・3級で、公式サイトから案内されている主な材料は次のとおりです。
- サンプル問題(3級)
- サンプル問題(2級)
- 出題区分表:2026年度の試験には2022年度版が使われます。2027年度版も公表されています。
- 公認模擬試験サイト(有料):サンプル問題のページから「公認」としてリンクされています。本試験と同じ問題が出るものではない、とサイト上に書かれています。
サンプル問題は大問別に用意されていて、問題と答案用紙のPDFをダウンロードできます。
ネット試験の操作体験版を公式が無料で出しているのは、簿記初級・原価計算初級だけです。
サンプル問題の模範解答・解説を民間が公開している場合もありますが、商工会議所としての公式な情報ではない、とサンプルページに注記があります。その内容について商工会議所に問い合わせても回答できない、とも書かれています。
過去問の代わりにやること
本試験の過去問が手元にない前提で、次の順が扱いやすいです。
出題範囲の全体像をつかむ
3級の出題範囲
2級の出題範囲
公式の出題区分表とあわせて、どの論点が試験に入りうるかを先に置きます。仕訳など、手が止まる処理を反復する
仕訳などの反復練習(道場)
勘定科目の選択や貸借の向きで迷うところを、短いセットで繰り返します。時間を計った通し練習を入れる
通し練習(コンテスト)
本番の分数に近い通しで、どこで時間が足りなくなるかを見ます。
市販の予想問題集や教材は、各社が独自に作ったものです。
試験のあと、問題をSNSなどに出さない
試験が終わったあとも、問題の中身を外に出すことは禁じられています。公式の注意事項では、試験問題を含め、試験に関して知りえた情報全般の複製・外部への開示・漏洩(SNSをはじめインターネット等への掲載を含む)を一切禁じる、とされています。
違反が分かった場合は、失格や合格取消、今後の受験をお断りするなどの対応があると案内されています。手応えのメモを残すとしても、問題文や数字の書き写し、SNSへの投稿は避けてください。
まとめ
日商簿記2級・3級の本試験問題は公開されていません。統一試験は第158回(2021年6月)から問題用紙を回収し、ネット試験は開始時から非公開です。問題が公開され、第167回から持ち帰りも認められているのは1級だけです。
対策の中心は、公式のサンプル問題と出題区分表で出題範囲をつかみ、仕訳の反復と時間を計った通し練習を重ねることです。過去問に頼るより、範囲全体に手が届く学習の方が、いまの試験に合っています。
勉強時間の目安や、週の予定の組み方は次の記事で解説しています。
参考
- https://www.kentei.ne.jp/36388
- https://www.kentei.ne.jp/34043
- https://www.kentei.ne.jp/33268
- https://www.kentei.ne.jp/35664
- https://www.kentei.ne.jp/34757
- https://www.kentei.ne.jp/34294
- https://www.kentei.ne.jp/44580
- https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/sample
- https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list
- https://www.kentei.ne.jp/report